囲碁用語の不思議(1)



 囲碁は中国、韓国、日本などのアジアや欧米で広く打たれている競技です。
 当然、囲碁用語はそのまま輸出されているものもありますし、その国で作られたものもあります。

 所変われば、囲碁用語変わる。
 そんな不思議な話をお送りします。

 肩の力を抜いてお読み下さい。



 星へのカカリに対して、根拠を奪う手があります。



 黒1の着手。
 皆さん、何と呼んでますか?

 日本では「スソ払い」と呼ばれています。
 自分も、そう呼んでいます。

 しかし……。
 なんと、「流れ桂馬」という名称があるそうです。
 正式かどうかわかりませんが、文献の日本語訳を見てみると確かにそう書いてありました。
 16年間囲碁をやってて、聞いたこともなかったのですが……。

 流れるように桂馬するという意味でしょう。
 すごく綺麗な言葉ですね。
 なんだか普及されても良いかな、と個人的には思います。


 さて。
 そもそも、なぜ「スソ払い」なのでしょう?
 要するに、白石とって黒1の位置が”スソ”にあたり。
 そこを足払いするような黒石の動き、と解釈できます。



 この同じ形、中国では「小鬼看門」と呼ばれています。
 小鬼(黒1の石)が、門(白石)を見ているという解釈。

 まったく日本と違って、面白くありませんか?



 ちなみに、韓国では上下左右どの方向にケイマしようとも単純に「ケイマ」としか呼ばないそうです。
 (本にはきちんと書いてあったのですが、ハングル表記は難しいので断念しました。)
 それもまた、解りやすいですよね。


 同じ形を、英語では「Dipping Knight's move」と呼びます。
 日本語訳すると”すくうようなケイマの動き”。

 黒石が白石をすくっているという解釈です。
 言われてみると、確かにそうも見えます。

 また、「foot sweep」(足元を掃除する)という俗称もあるそうです。
 白石の足元ということで、この解釈は割と日本に近いでしょう。


 同じ打ち方なのに、スソだったり鬼だったり。
 はたまた、掃除だったり。

 なかなか面白いものですね。



 《参考文献》
 Contemporary Go Terms:Definitions & Translations(Chihyung Nam,Professor Department of Baduk Studies Myongji University)

 韓国のMyongji University(明星大学)で使われている教科書だそうです。
 ISGO(国際学生囲碁連盟)の合宿でいただきました。

 囲碁用語が英語・中国語・韓国語・日本語で書かれている文献。
 まだ1割も読んでないのですが。それでも、その国によっての解釈の違いを面白く感じられます。



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